借地権付建物を賢く選ぶための重要ポイント 種類別の期間や地代・相続の仕組み

2026.05.26

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首都圏を中心に不動産価格が高騰しているなか、希望のエリアで「所有権」の物件を探すと予算を大幅に超えてしまうことは珍しくありません。かといってエリアを大幅に変えることも何とか避けたい場合、有力な選択肢となるのが「借地権付建物」です。一見すると土地が自分のものにならないデメリットが目立ちますが、仕組みを正しく理解し、将来の出口戦略(売却や相続)を想定しておけば、非常に合理的なマイホーム購入となります。

借地権付建物とは、土地を借りて建物を所有する権利(借地権)と、その上の建物のみを所有する形態の物件です

不動産市場に多い所有権の物件は、土地と建物を所有する物件であり、借地権付建物は、土地の所有権は持たないことから、所有権の物件に比べて割安感があります。

この記事では、借地権の法的種類から、所有中にかかる「地代」「更新料」の実態、そして売却・相続時のルールまで、後悔しないために必要な知識を網羅的に解説します。

借地権付建物の仕組みと「権利」の正体

借地権付建物を理解する上で最も重要なのは、同じ土地でも権利が「借りる側」と「貸す側」で分かれている点です。

借地権と底地権の関係

土地の所有権は、法律上「借地権(借りる権利)」と「底地権(貸す権利)」という2つの側面に分かれます。借地権付建物を購入する場合、あなたは「借地権者」となり、土地の真の所有者である地主(底地人)に対して毎月「地代」を支払うことで土地を利用できます。

「地上権」と「賃借権」の大きな違い

借地権には「地上権」と「賃借権」の2種類があり、その性質は大きく異なります。

  • 地上権(物権)  土地を直接支配できる非常に強い権利です。地主の承諾なしに建物を自由に売却、転貸、増改築でき、登記も義務付けられています。実質所有権と同等と捉えることができるため、一般の住宅地で設定されることは極めて稀です。
  • 賃借権(債権)  地主との信頼関係に基づく契約であり、市場に流通する借地権付建物の大半がこれに該当します。売却や建て替えには地主の承諾が必要となり、多くの場合「承諾料」が発生します。

借地権の3つの種類と存続期間・更新ルール

契約が結ばれた時期や内容によって、借地権は大きく「旧借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3つに分類されます。

旧借地権(旧法借地権)

1992年(平成4年)7月31日以前に契約されたものが対象です。

  • 特徴  「借りている側の権利が極めて強い」のが最大の特徴です。正当な理由がなければ地主は更新を拒めず、半永久的に借り続けることができます。
  • 期間  構造により異なり、木造(非堅固建物)は当初20年(更新後20年)、RC造(堅固建物)は当初30年(更新後30年)が基本です。

普通借地権(新法借地権)

1992年8月以降の「借地借家法」に基づく権利です。

  • 特徴 建物の構造による期間の区別がなくなりました。旧法と同様に更新が前提であり、借地人の長期利用が保障されています。
  • 期間 当初は一律30年、1回目の更新は20年、2回目以降は10年となります。

定期借地権

現行法で導入された「更新がない」借地権です。

  • 特徴  期間満了時には必ず建物を解体し、更地にして土地を返還しなければなりません。その分、地代や取得価格が安く設定される傾向にあります。
  • 期間  一般定期借地権の場合、50年以上の長期に設定されます。

借地権付建物を購入する経済的メリット

土地が自分のものにならず、毎月の地代や建替え時の承諾が必要になる等、不利な点が多いように感じる借地権付建物ですが、所有権にはない借地権付建物ならではのメリットは以下の3点に集約されます。

取得コストを大幅に削減できる

最大の魅力は取得コストの「安さ」です。土地の購入費用がかからないため、所有権価格の7〜8割程度の予算で購入可能です。このため、希望するエリアで所有権の物件だと手が届かない場合でも借地権付建物なら、予算に収まるケースも出てきます。また浮いた資金を諸費用の支払いや建物のグレードアップ、設備充実に回すことができます。

土地部分の税金(固定資産税等)が不要

土地の所有者は地主であるため、土地にかかる「固定資産税」や「都市計画税」を支払う必要がありません。建物の固定資産税等は経年と共に価値が低下する前提で、基本的には安くなっていきますが、土地の固定資産税は周辺の市況が上がると、その影響を受けて自分の土地についても税額が上がるケースがあります。その土地に関する固定資産税は考慮する必要がなく、負担するのは建物部分の税金のみとなり、年間の維持費を抑えられます。

利便性の高い「好立地」で見つかりやすい

都心部や駅近、高級住宅街などでは、地主が「土地を売りたくないが貸したい」と考えるケースがあります。その地域で代々続く地主さんやお寺などが土地を保有しているケースも多く、所有権では市場に出回らないような希少な立地に住めるチャンスが広がります。

知っておきたいデメリットと注意点

安さの対価として、いくつかの制約や特有のコストが発生することを理解しておく必要があります。

毎月「地代」が発生する

土地を借りる対価として、継続的に地代を支払います。地代は固定資産税の3〜5倍程度が目安とされていますが、地主さんの意向によって様々です。物価上昇や税金の変動により値上げ交渉を受けるリスクもあります。

住宅ローンの融資審査が厳しい

借地権付建物は土地が担保にならないため、金融機関の評価が低くなり、ローンが組みにくい傾向があります。融資額が減額されたり、地主の承諾(承諾書)が必要になるのが一般的です。また近年、担保評価以外にも各金融機関の指定書式で地主さんへの協力を求める内容が厳しくなっている傾向もあり、融資環境はより厳しくなってきています。ただし、フラット35など借地権に対応した融資も存在します。

リフォームや建替えに制限がある

大規模なリフォーム、増改築、建替えを行うには地主の承諾が必要です。無断で行うと契約解除のトラブルに発展する恐れがあり、多くの場合「承諾料」の支払いが必要になります。

維持・運用にかかる「各種承諾料」の相場

借地権は所有権に比べて取得時の支出が安く済む分、維持するためには節目ごとに一時金が発生します。これらを資金計画に組み込んでおくことが重要です。

  • 更新料 契約更新時に支払います。相場は借地権価格の5〜10%程度、あるいは更地価格の3〜5%程度です。
  • 建替承諾料 建物を新築する際に支払います。相場は更地価格の3〜5%程度です。
  • 譲渡承諾料(名義書換料)  第三者に売却する際に支払います。相場は借地権価格の10%程度です。
  • 条件変更承諾料  木造からRC造へ変更するなど、契約条件を変える際に支払います。相場は更地価格の10%程度です。

借地権付建物の賢い売却方法

ご相談のなかで、「借地権付建物は売れない」のではないかと質問をいただくことも少なくありません。しかし、以下のルートを知っておけばスムーズな現金化が可能です。

地主に買い取ってもらう

借地権の売約先として、最も先に検討されるのが、土地の貸主である地主となります。地主側としても借地権を買い戻すことで土地を完全な所有権に戻せるため、メリットが大きく、購入に前向きな場合が多いです。

第三者(個人または業者)へ売却する

地主に借地権を買い戻す購入の意向がない場合、地主の承諾を得て、建物と借地権をセットで売却します。この際、地主に譲渡承諾料を支払うのが一般的です。

地主と協力して「同時売却」する

地主へ話を持ちかけた際、底地も一緒に売却したいとなる場合があります。借主の借地権と地主の底地権を合わせ、ひとつの「所有権物件」として第三者に売却します。この方法は、最も市場価値が高まり、双方が納得できる地域の相場価格で売れる可能性が高まります。

相続時の手続きと注意点

借地権を相続する際には、以下のような点に注意が必要です。

  • 地主の承諾は不要 遺言や遺産分割協議による相続であれば、法的に地主の承諾や名義書換料の支払いは必要ありません。ただし、良好な関係を保つために相続が発生した旨を通知しておくべきです。

また地主側が依頼している不動産管理会社が窓口となっている場合、土地借主名義の変更手続きとして、事務手数料(5〜10万円程度)を請求される場合があります。

  • 相続税の対象となる 借地権にも資産価値があるため、相続税が課税されます。評価額は「自用地評価額 × 借地権割合(30〜90%)」で算出されます。

よくあるトラブルと回避策

地主との「人間関係」が介在するため、トラブルへの備えが不可欠です。

  • 地代の値上げ交渉 一方的な通知に応じる必要はありません。租税の増減や土地価格の変動など、合理的な理由が必要です。納得できない場合は元の地代を供託するなどして対抗できます。
  • 立ち退き要求  契約期間内であれば、重大な契約違反がない限り拒否できます。立ち退く場合でも、立ち退き料を請求できる可能性があります。
  • 対抗要件(登記)の確認  土地そのものに借地権の登記がなくても、自分の名義で建物を登記していれば、第三者に対して借地権を主張できます。購入時には必ず建物の登記名義を確認してください。

まとめ 借地権付建物を選ぶべき人とは?

ここまで借地権付建物について、メリットやデメリット、注意点などをご説明してきました。どちらかと言えば避けられがちな借地権付建物でも、以下のような方にとって非常に合理的な選択肢となります。

  • 希望エリアが明確で、予算を理由に立地を譲りたくない方
  • 初期費用を抑えて、その分を建物の仕様にこだわりたい方
  • 資産を子供に残す予定がなく、自分の代で完結させたい方

一方で、地主との良好な関係維持や、特有の維持コストへの理解も不可欠です。検討の際は、借地権特有の複雑な権利関係に精通した専門知識を持つ不動産会社に相談することが、成功への最大の鍵となります。

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