2024.02.23
相続財産には、さまざまな財産が含まれますが、その中でも不動産が占める割合は非常に重要です。令和4年に国税庁が発表した「令和3年分 相続税の申告事績の概要」では、相続財産の金額の構成比において、土地と家屋の不動産合計が全体の約38%を占めています。
不動産は土地や建物などの実体を持つ財産であり、相続時にはその価値や処分方法が大きな課題となります。以下では、相続財産における不動産の割合が大きい場合について考察してみたいと思います。
不動産の割合が相続財産全体の大部分を占める場合
通常以下のような状況が考えられます。
高額な不動産資産の存在
相続財産に含まれる不動産の価値が非常に高い場合です。特に都心部や人気のある地域に位置する不動産は、市場価値が高く、相続財産全体の大きな部分を占めることがあります。
複数の不動産資産の保有
相続財産に複数の不動産が含まれている場合も、不動産の割合が大きくなります。例えば、複数の土地や建物、投資用不動産、居住用不動産などが相続財産に含まれる場合、その合計価値が相続財産全体の大きな部分を占めることがあります。
他の資産が少ない場合
相続財産における不動産の割合が大きくなる要因として、他の種類の資産(例:預金、有価証券、事業資産など)が少ない場合が考えられます。
これらの要因が重なることで、不動産の割合が相続財産全体の大きな部分を占める状況が生じます。このような場合は、相続手続きや相続税の対策など、適切な対応が求められます。
不動産の割合が高い場合の影響
相続財産のうち、不動産の割合が高い場合には、以下のような影響が考えられます。
遺産分割の複雑化
不動産は容易に分割できないため、相続人間での調整が複雑化します。特に、複数の相続人がいる場合や、不動産が複数の物件からなる場合は、その分割方法や利用方法について合意を形成することが困難になる場合があります。
相続財産の処分の難しさ
不動産の割合が高い場合、相続財産の処分が難しくなることがあります。特に、相続人が不動産を共有する場合や、不動産の売却が困難な場合は、相続財産の処分に時間や労力を要することがあります。
相続財産の維持費の増加
不動産を所有する場合、維持管理の費用等が必要となります。不動産の割合が高い場合は、その維持管理費の負担も相応に増加する可能性があります。特に、複数の不動産を所有する場合や、不動産の状態が良くない場合は、維持費の負担が大きくなることが考えられます。
不動産の割合を把握し、適切な対策を
相続財産における不動産の割合を把握し、適切な対策を行うことは、円滑な相続手続きや財産管理にとって非常に重要です。以下に、その具体的な手順を説明します。
不動産の評価
まず、相続財産に含まれる不動産の正確な評価を行います。これには、不動産の市場価値や資産の状態、土地や建物の特性などを考慮して査定を行うことが含まれます。
不動産の割合の計算
不動産の評価額を元に、相続財産全体における不動産の割合を計算します。これにより、不動産が相続財産全体のどれだけの割合を占めているかを把握することができます。
相続税の計算と対策
不動産の割合が高い場合は、相続税の負担が増加する可能性があります。相続税の計算においては、不動産の価値が重要な要素となります。そのため、相続税の特例や節税対策を検討し、負担を軽減するための対策を取ることが重要です。
相続人間の調整
遺言書が無かった場合には相続人による遺産分割協議が必要となります。不動産の割合が高い場合、不動産の分割方法や利用方法などについて、相続人間で合意を形成し、適切な対応を行うことが重要です。
不動産の管理や処分計画
不動産の割合が高い場合は、その管理や処分計画も重要です。不動産の維持や管理にかかる費用や手間、売却や賃貸などの選択肢について検討し、適切な計画を立てることが必要です。
専門家の助言を求める
専門家の助言を求めることも重要です。税理士や弁護士、不動産の専門家などに相談し、適切な対策や計画を立てることが望ましいです。
以上の手順を踏み、相続財産における不動産の割合を把握し、適切な対策を行うことで、円滑な相続手続きや財産管理を実現することができます。
まとめ
相続財産における不動産の割合は、相続時の課題や負担に大きな影響を与えます。不動産の割合が高い場合は、適切な対策を講じることが重要です。相続人や専門家との協力を通じて、円滑な相続手続きを行い、遺産を適切に処理することが求められます。
相続・不動産コラム