2024.04.12
「親の相続に伴って、実家が空き家になってしまい困っている」「いくつか不動産を所有しており、生前に整理しておきたいが何をしたらよいかわからない」という方は多いのではないでしょうか。
空き家以外の有効活用されていない不動産のことを「遊休不動産」と言いますが、空き家や遊休不動産を放っておくと、トラブルや犯罪などさまざまな問題に発展するため、どのように活用していくか考えることが大切です。
国土交通省の調査によると、空き家や遊休不動産の数は年々増加しており、2013年には約820万戸に。そのうちの約272万戸は活用が望めていないため、適切な管理が求められています。
当記事では、遊休不動産の活用方法や問題点、活用するメリットについて解説します。
空き家や遊休不動産について理解を深めて対策を考えたい方は、ぜひ参考にしてください。
遊休不動産を活用したい場合、以下の6つの方法があります。
遊休不動産を放置しておくと、税金の発生や近隣とのトラブルなど、さまざまな問題が発生するため、どのように遊休不動産を活用すればよいのか確認しましょう。
遊休不動産で収入を得たい場合は、立地や土地の広さに応じたサービスを展開し、場所を貸し出すとよいでしょう。例えば、以下のような活用方法があります。
他にも、空き店舗や住居を改修し、サポート付き住宅や地域住民の配食センターに整備したところもあります。遊休不動産を貸し出すことで、維持管理をする必要がなくなり、土地の老朽化も防げることがメリットです。
参考:高齢者・障害者・子育て世帯 居住安定化推進事業について|国土交通省
遊休不動産を貸し出すのではなく、自ら経営をしていくことも可能です。
自分で経営していく場合は、その地域で事業の需要があるかをしっかりと見極める必要があります。立地や土地の広さなどから、場所に適したビジネスを展開していくとよいでしょう。
国土交通省は、高齢者や障害者が安定して暮らせるように空き家や遊休不動産を利活用した事業を公募しています。改修費の補助も受けられるため、遊休不動産の活用に困っている場合は相談してみるのも一つの手です。
参考:高齢者・障害者・子育て世帯 居住安定化推進事業について|国土交通省
空き地や遊休不動産は、その土地がある自治体に寄付ができます。通常は所得税(譲渡所得)が課されますが、以下の場合は非課税です。
各自治体に独自のルールや手続きが定められているため、別途確認をしましょう。
参考: 国や地方公共団体又は公益を目的とする事業を行う法人に財産を寄附したとき|国税庁、租税特別措置法第40条第1項後段の規定による譲渡所得等の非課税の取扱いについて|国税庁、土地の寄附について |新潟市
土地信託とは、銀行や事業者、法人など信頼できる人や場所に土地を貸して、管理や運用を行ってもらうことです。
信託された銀行や事業者は、資金を調達してマンションやオフィスとして遊休不動産を活用します。発生した報酬から、土地の所有者が配当金をもらえる仕組みです。土地信託を行うには、エリアや土地の広さなどの条件があるため確認をしましょう。
また、発生した利益を受け取る権利である「信託受益権」を子供や孫に渡す場合、相続税や贈与税が発生するため、合わせて確認が必要です。
参考:第4 相続税及び贈与税に関する取扱い|国税庁、No.4614 貸家建付地の評価|国税庁
遊休不動産を活用したいものの資金がない場合は、等価交換という手段もあります。遊休不動産の等価交換は、提供する土地と同じ価値のものを交換することです。
遊休不動産の等価交換では「譲渡がなかったもの」とされる特例があり、資金がなくても土地を有効活用してもらえます。
参考:事業用の資産を買い換えたときの特例|国税庁、No.3511 土地建物と土地を等価で交換したとき|国税庁
遊休不動産を活用できない場合、思い切って売却するのも一つです。遊休不動産を売却することで、以下のようなメリットがあります。
売却することで、遊休不動産を巡るトラブルや犯罪も回避できるでしょう。
しかし、売却するには残置物を撤去したり、不動産会社に相談したりする手間やお金がかかります。貸し出す相手がいなかったり、人手不足で経営が難しかったりする場合に検討しましょう。
遊休不動産と違いが理解されにくいものとして、空き家があります。それぞれの違いは、以下のとおりです。
不動産 | 特徴 |
---|---|
遊休不動産 | 有効に活用されていない不動産全般(店舗やビル、倉庫など) |
空き家 | 一定期間使用されていない住居 |
有効に活用されていない土地のことを「遊休地」と呼ぶこともあります。どれもさまざまなトラブルに発展するため、社会問題として解消が必要です。
遊休不動産が抱える問題は、以下の4つです。
使う予定がない不動産を放置していると、さまざまな問題につながります。この章で、自分の状況と照らし合わせながら確認してみてください。
「せっかく不動産を相続したのだから、いつか利用したい」と思っているものの何もしないでいると、固定資産税や都市計画税を払い続けることになります。
また一定以上の面積である「遊休土地」に該当する場合、特別土地保有税※1も別途課されます。
※1 特別土地保有税:面積が1,000㎡以上である土地に課される税金。
(注) 平成15年1月1日以後に取得された土地に対する特別土地保有税は、当分の間課さないこととされています(地方税法附則31)。
管理されていない空き家が「特定空き家」として増税されるのと同様、遊休不動産も適切な管理がされていないと多くの税金を支払うことになります。
使われていない建物は、人の出入りが少なく景観も損ねるため、放火や不法投棄などのターゲットになります。遊休不動産が多い地域は廃れたイメージにつながり、地域全体にもよくない影響を与えるでしょう。
遊休不動産は山林や農地も含まれるため、適切な管理をしなければ火災や土砂災害などにもつながります。
定期的に掃除や管理をしなければ害虫や害獣が発生してしまいます。また、管理を怠ると物件の老朽化が進み、自然災害によって倒壊する恐れも。
物件を使用していないからといって、何も管理しなくていいわけではありません。物件の状態に合わせて、適切な管理を継続的に行う必要があります。
管理されていない荒れた物件は外観を損ねるだけでなく、ゴミなどのポイ捨てもされやすいため、周辺に悪影響を与えてしまいトラブルになる可能性があります。
また、火災や犯罪など近隣住民に迷惑をかける場合もあるため、注意が必要です。
遊休不動産を活用するメリットは、以下のとおりです。
遊休不動産の放置にはさまざまな問題があるものの、有効活用できれば多くのメリットを享受できます。
持っている不動産を手放すと資産が減るように感じる場合もありますが、現金を受け取れるメリットもあります。管理や税金の支払いも必要なくなるため、将来的に活用の予定がなければ、早めに手放すのもよいでしょう。
当社で直接買取する場合は、売却活動期間が不要なため、お客様の問題を早期に解決し、早く現金を受け取れます。また、通常の売却活動にかかる仲介手数料も不要のため、コストを抑えられます。
売却後、期間売主の責任として生じる契約不適合責任も免責となるため、安心して売却を進めていただけます。契約不適合責任とは、主に以下のような出来事が起きた場合の責任です。
弁護士や税理士と連携しながら遊休不動産や空き家の相談を受けておりますので、不動産のお悩みがある方はぜひご相談ください。
賃貸や経営を行う場合、事業がうまくいけば継続した収入を得られます。本業と別に不動産収入が得られることは、大きなメリットといえるでしょう。
しかし、賃貸用物件として活用したりテナント経営したりするには、ある程度の経営知識が必要です。建物の維持にどれだけ費用がかかるか、期待する収入が見込めるかなど、信頼できる不動産会社に相談して進めるとよいでしょう。
遊休不動産を売却したり、土地信託として法人や事業者へ運営管理を委託すれば、維持管理費のコストを削減できます。
出費が抑えられるだけでなく、物件価値を維持するための管理や対応などの手間も減らせます。場所や物件の状態によっては活用が難しい場合もあるため、地域の事情に詳しい不動産会社にまず相談してみるとよいでしょう。
遊休不動産の売却や活用方法によっては、税金の優遇措置を受けられるため節税効果が見込めます。
例えば居住していた不動産を売却する場合、一定条件を満たしていると3,000万円の所得控除を受けられます。
アパートやマンションとして貸し出す場合は、小規模住宅用地の特例が適用されるため、固定資産税や都市計画税の減税が可能です。遊休不動産の活用を検討している場合は、どのような節税ができるか一度税理士へ確認するとよいでしょう。
▶︎関連記事:居住用財産の3000万円控除とは?
遊休不動産の有効活用は、地域のにぎわいや経済の活性化につながります。使っていない不動産を活用しておしゃれな宿泊施設やシェアハウスなどに活用すれば、人とのつながりも生み出されます。
現代社会の問題である孤立や若者の都市部への流出など、地域の課題解決にも貢献できるかもしれません。
放置していた遊休不動産や空き家などの不動産を活用できれば、管理の心配や何もできていない不安、ストレスを解消できます。
収益を望むのか、手間がかからないようにしたいのか、など望む形によって遊休不動産の活用方法は変わるため、所有しているだけでお金がかかり続ける遊休不動産を地域のニーズに合わせて活用し精神的負担を解消しましょう。
遊休不動産に限らず、不動産の管理は経済的負担や精神的負担がかかります。信頼できる不動産会社を見つけて、現在の状況や今後の望みを相談しながら活用方法を探すと良いでしょう。
相続不動産株式会社では、数々の経験による独自ルートや全国ネットワークを通じて、不動産の規模や種別、地域を問わずご相談に対応しております。周囲にあまり売却を知られたくない場合など、お客様の状況に合わせて丁寧に対応を進めます。
山林や別荘地、地方の空き家や更地など価格がつきにくい不動産にも対応しているため、まずはお気軽に無料査定へお申し込みください。
関連記事▶︎相続財産に占める不動産の割合とは?
【監修者】 村上雄介 相続不動産株式会社 代表取締役、宅地建物取引士、1級ファイナンシャル・プランナー。相続関連の不動産に特化して対応。資産規模として数十億円の方から自宅1件のみの方まで幅広くサポート実績あり。 |
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