2026.10.14
実家を相続し、売却を考えているものの、「名義変更(相続登記)をしていない」「荷物が残ったままで片付いていない」とお悩みではないでしょうか。思い出が詰まった実家の荷物を前にして、どうしていいのか判断がつかず、しばらくそのままといった方も多いのが実情です。そのため、「すべてきれいに整理してからでないと相談できないのでは」と考えてしまい、なかなか行動を起こせない方は少なくありません。
しかし、売却前の問題をすべて自分で解決してから相談する必要はありません。「何から手をつければいいか分からない」という状態であっても、現状を整理するための相談は可能です。
本記事では、最初にやるべき現状整理から、状況に応じた相談先の違い、売却までの具体的な流れ、不動産会社の選び方まで分かりやすく解説します。
「相続した実家を売りたいけれど、何から手をつければいいか分からない」という方は少なくありません。売却手続きを進める際は、まずは以下の3つのステップから始めてみましょう。
最初に確認しておきたいのが、「誰がその実家を相続する権利を持っているか」です。
すでに遺言書がある場合や、親族間で「自分が引き継ぐ」と話し合い(遺産分割協議)がまとまっている場合は、手続きをスムーズに進めやすくなります。一方で、「誰が継ぐかまだ決まっていない」「相続人が複数いて連絡が取れていない」といった状況であれば、まずは関係者の間で売却の意向があるかを簡単に確認しておきましょう。
次に、手元で把握できる範囲で実家の情報を整理してみましょう。具体的には以下のような項目です。
・物件の所在地(住所)
・現在の名義人(亡くなった親の名義か、それ以前のままかなど)
・建物の状態(空き家になってからの期間、不具合の有無など)
ただし、ここで権利証や古い書類を家中探しまわったり、市役所で難しい資料を揃えたりする必要はありません。まずは「今分かっている情報」だけで十分です。
相続した実家を売却する際に重要なのは、「よく分からないから」と立ち止まってしまわないことです。
「名義変更が終わっていない」「片付けにまったく手がつけられていない」「いくらで売れるか想像もつかない」といった状態であっても、焦る必要はありません。分かる範囲で情報を整理し、不明な点は相談先に確認しながら進めていくことが可能です。
「登記も済んでいないし、家の中も散らかったままだから、まだ不動産会社には相談できない…」と後回しにしていませんか?
ここでは、準備が整っていない段階で相談できることや、売却に向けて確認したいポイントを3つ紹介します。
実家を売却するにあたって、相談や査定を依頼する段階で相続登記が完了している必要はありません。
不動産会社に現在の状況(名義人は誰なのか、遺言書の有無など)を伝えることで、売却と並行してどのように名義変更を進めればよいかアドバイスをもらえることもあります。必要に応じて司法書士を紹介してくれることもあるため、相続登記が済んでいなくても「まずは相談する」ところから始めてみるとよいでしょう。
ただし、実際に売却を進める際には、相続登記など必要な手続きを行わなければなりません。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務化されています。原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。また、遺産分割協議によって不動産を取得した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に登記を申請する義務もあります。売却を検討している場合は、こうした期限にも注意して手続きを進めましょう。
長年親が暮らしていた実家には、家具や家電、日用品など大量の荷物が残っているものです。これらを自分や家族だけで片付けようとすると、膨大な時間と労力がかかってしまいます。
実は、荷物が残った状態のまま現地を見てもらい、査定や相談を進めることも可能です。
不動産会社によっては、不用品の回収・処分業者を紹介してくれたり、片付けも含めた売却プランを提案してくれたりします。また、買い手(不動産会社による直接買取など)によっては「荷物はそのままでOK」という条件で引き取ってくれるケースもあります。ご自身だけで無理をして片付ける前に、まずは現状のまま見てもらうことをおすすめします。
「築年数がかなり経過していてボロボロの状態になっている」「隣の土地との境界線がはっきりしない」「空き家期間が長くて状態が心配」といった不安があっても、相談は可能です。
古い建物や境界が不明な土地を扱った経験が豊富な不動産会社もあります。売却できるかどうかを自分だけで判断せず、まずは現状を伝えて相談してみましょう。
相続した実家の売却を進めるにあたって、「不動産会社だけでなく、司法書士や税理士にも相談すべき?」と悩む方は非常に多いです。
専門家にはそれぞれ得意分野(専門領域)があります。役割の違いを整理しておきましょう。
不動産会社は、実家の売却に向けた状況整理や取引の窓口となる存在です。
物件がいくらで売れそうかを確認する査定をはじめ、仲介・買取といった売却方法の提案、売り出すまでに必要な準備(片付けや解体など)のスケジュール調整まで、売却活動全体をサポートしてくれます。
司法書士は、不動産の権利関係(登記)に関するプロフェッショナルです。
亡くなった親から相続人へ名義を変更する「相続登記」や、売却に必要な名義変更手続きを代行してくれます。戸籍謄本の収集や遺産分割協議書の作成など、専門的で複雑な手続きを正確に進めたい場合に頼りになる専門家です。
税理士は、相続や不動産売却にかかわる「税金」の専門家です。
相続税が発生するかどうかの試算や、実家を売却した際に出る利益にかかる税金(譲渡所得税)の計算を行ってくれます。また、「空き家の3,000万円特別控除」などの節税特例が適用できるかどうかといった個別の税務相談に乗ってもらえます。
弁護士は、法律トラブルの解決や権利調整のプロフェッショナルです。
「兄弟間で売却するかどうか意見が割れている」「遺産分割協議がまとまらず話し合いが進まない」など、相続人同士でトラブルや対立が生じている場合に相談するとよいでしょう。第三者として間に入り、法律に基づいた妥当な解決策を提示してくれます。
「自分たちの状況だと、司法書士・税理士・弁護士のどこに行けばいいのか分からない」と迷ってしまうことも多いはずです。
実家の売却を考えている場合には、まず不動産会社に相談し、現状を伝えながら必要な課題を整理するという方法もあります。相続不動産を多く扱う不動産会社であれば、提携している司法書士や税理士などの専門家を紹介してもらえる場合もあります。ただし、相続人同士で争いがある場合や、税務上の判断が必要な場合などは、状況に応じて弁護士や税理士などに直接相談することも検討しましょう。
「何から手をつければいいか分からない」という状態を抜け出すには、相談から売却・引渡しまでの「全体像」をあらかじめ知っておくことが役立ちます。
相続した実家の売却は、大きく分けると以下の4ステップで進んでいきます。
なお、相続関係の整理や登記の手続き、査定などは、状況に応じて並行して進んだり順番が前後したりすることもあります。
最初のステップは、不動産会社への相談と売り出し価格を決めるための査定依頼です。
現在の実家の状況(所在地・空き家になっている期間・名義の状態・荷物の有無など)をそのまま伝え、いくらで売れそうかの目安(査定価格)を出してもらいます。
あわせて、片付けや登記といった売却前の課題についても確認しておきましょう。
査定結果を確認したら、どのような方法で売り出すか(売却方法)と、売却に向けた準備の進め方を決めていきます。
売却方法には、不動産会社を通じて一般の買主を探す「仲介」と、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」の2種類があります。仲介を選ぶ場合は、不動産会社と「媒介契約」を結んで正式に売却活動(買主探し)を依頼します。売却方法が決まったら、不動産会社のサポートを受けながら、相続登記の手続きや家財道具の整理など、実際の準備に取りかかります。
売却活動を進め、条件に合う買主が決まったら、売買契約を結びます。
契約時には、売買価格や引渡しの時期、手付金の支払いといった細かな条件を確認し、契約書に署名・押印を行います。仲介の場合は売却代金の一部を手付金として受領し、引渡しに向けた最終的な準備(残りの荷物の片付けや必要書類の手配など)を進めます。
売買契約から一定期間が経過したら、残代金の決済(売買代金の残りを受け取ること)と物件の引渡しを行います。
買主から売買代金の全額を受け取ると同時に、実家の鍵や関係書類を引き渡します。また、決済・引渡しに合わせて、司法書士が買主への所有権移転登記を申請します。
無事に引渡しが終わった後は、翌年の確定申告に備えて売却にかかった費用や税金関係の書類を保管しておきましょう。
相続した実家の売却を進めるうえでは、相談先となる不動産会社選びが非常に重要になります。
一般的な中古住宅の売買とは異なり、相続不動産には「荷物の片付け」「名義変更(相続登記)」「境界の確認」など、売却前にクリアすべき特有の課題が多く存在します。こうした課題に親身に対応してくれる不動産会社を見つけるための4つのポイントを解説します。
不動産会社にもそれぞれ得意分野があります。都心の築浅マンションが得意な会社もあれば、郊外の戸建てや空き家、築年数の古い物件の取り扱いに強い会社もあります。
ホームページなどで「相続不動産の売却実績」や「空き家・古家の売買事例」が豊富に掲載されているか確認してみましょう。実績が豊富な会社であれば、相続物件特有のつまずきやすいポイントを熟知しているため、相談先を選ぶ際の判断材料になります。
単に査定価格を提示するだけの会社ではなく、売却までに解決すべき課題を一緒に整理・サポートしてくれる会社を選びましょう。
「そのままになっている荷物をどう処分するか」「古い建物を解体して更地にするべきか」「名義変更はどのタイミングで行うか」など、売却の手前に発生する悩みに親身になってアドバイスをくれる担当者であれば、手続きを進めやすくなります。
相続不動産の売却では、不動産会社だけでなく司法書士や税理士、弁護士など複数の専門家への相談が必要になるケースが多くあります。
こうした外部の専門家と日頃から強い連携体制を持っている不動産会社であれば、必要なタイミングで適切な専門家を紹介してもらいやすくなり、自分で探す負担を軽減できます。
不動産の売却方法には、時間をかけて市場で買主を探す「仲介」のほかに、不動産会社が直接買い取る「買取」という方法もあります。
「遠方に住んでいて手間をかけたくない」「売却を周囲に知られたくない」「なるべく早く現金化したい」など、所有者の事情はさまざまです。物件の状態やご自身の希望に合わせて複数の選択肢(仲介・買取など)を柔軟に提示・比較してくれる会社を選ぶと安心です。
相続した実家の売却では、相続登記や家財道具の整理、建物の状態確認など、状況に応じて対応すべき課題があります。相談先は、不動産会社のほか、相続登記なら司法書士、税金なら税理士、相続人同士の争いなら弁護士など、悩みに応じて選ぶことが大切です。
何から始めればよいか迷った場合は、不動産会社に相談して現状を整理する方法もあります。必要な手続きや専門家を確認しながら、売却活動を進めていきましょう。
相続・不動産コラム