相続した実家を売るなら「3年以内」がおすすめ 空き家売却の戦略

2026.04.23

サムネイル

 親の相続を経験しやすい年代である50代、60代という方々にとって、両親から引き継ぐ「実家の相続」は避けて通れない大きな節目です。 既に自分の家族を持ち、自宅を購入しているケースも多いでしょう。

そのため、相続してもすぐに使う予定がなく、しばらく物置となっていることも多いのが実態です。長年過ごした思い出の詰まった家をどうすべきか、遠方に住んでいて管理もままならない状況で悩んでいる方も少なくありません。

今の日本において空き家の放置は、単なる「先延ばし」では済まない深刻な経済的リスクを伴います。実は、相続した不動産を売却して手元に現金を残すためには、「3年」という明確なタイムリミットが存在することをご存知でしょうか。

知らないと数百万円単位で損をする税制特例の仕組み、そして手間をかけずに賢く実家を整理する方法を徹底解説します。

なぜ「3年以内」が分かれ道なのか? 知っておきたい2つの最強特例

実家の売却において、最も大きなメリットを享受できる期間が「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」です。 この期限を過ぎてしまうと、受けられたはずの特例措置が受けられなくなり、手残り金額に大きな差が生じます。

「相続空き家の3,000万円特別控除」の威力

この制度は、相続した実家を売却して得た利益(譲渡所得)から、3,000万円を控除できるという強力な特例です。 不動産を売却すると、通常はその利益に対して、所有期間に応じて約20%から40%の譲渡税が課されますが、この特例を使えば多くの場合、税金が実質ゼロになります。 適用には「昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震基準の建物であること」などの条件がありますが、2024年の改正により、老人ホームに入居していた場合や、売却後に買主が耐震リフォームを行った場合でも適用可能になるなど、使い勝手が向上しています。 しかし、この最大の条件が「相続から3年以内(の年末まで)」という期限なのです。

国土交通省:空き家譲渡の3000万円控除

「取得費加算の特例」で譲渡税さらに抑える

被相続人の遺産が基礎控除を超えていたために、相続税を支払った方であれば、さらに「取得費加算の特例」も適用の可能性があります。 これは、相続した実家を売却した際に、支払った相続税の一部を経費(取得費)として計上し、譲渡所得税を安くできる制度です。 この特例の期限は「相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日(=相続開始から約3年10ヶ月以内)」と定められています。 このように、税制面での優遇を最大限に受けるためには、月日を考慮して迅速に動くことが不可欠なのです。

国税庁:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

2024年からの法改正が空き家放置の「逃げ道」を塞ぐ

これまでは「とりあえず放置」という選択肢もありましたが、長期間放置されたことにより権利関係がどんどんと複雑化して実際の所有者がわからない「所有者不明土地」が社会問題となり、大きく顕在化してきました。

そうした背景から法改正が行われ、相続登記の義務化となりました。

「相続登記の義務化」と10万円の罰則

2024年4月から、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記(名義変更)を行うことが義務化されました。 正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があるだけでなく、登記名義人が被相続人のままだと、そもそも売却することができません。形式要件の整った遺言書があれば、相続登記を行い、名義変更することが可能ですが、遺言書が無い場合、兄弟間での遺産分割協議をおこなわなければならず、この話し合いが整わないまま放置しているケースは特に注意が必要です。相続人全員の同意がなければ売却手続き自体を進めることができないため、早急な話し合いが求められます。

政府広報:不動産の相続登記義務化

「管理不全空き家」指定で固定資産税が最大6倍に

2023年12月の法改正により、従来の「特定空家等」の一歩手前の段階である「管理不全空家等」という区分が新設されました。

管理が不十分な状態が続くと、自治体から「特定空家等」または「管理不全空家等」などの「勧告」を受けることがあります。この勧告を受けた後、賦課期日(1月1日)までに改善措置が講じられていないと、土地の固定資産税評価を最大1/6に軽減していた優遇措置が解除され、翌年から税額が大きく跳ね上がるリスクがあります。

特定空家等

・倒壊など著しく保安上危険の恐れがあるもの

・著しく衛生上有害となるもの

・著しく景観を損なっているもの

・周辺環境保全のため、放置することが不適切なもの

管理不全空家等

・適切な管理がおこなわれておらず、放置すれば「特定空家等」に該当する場合

相続が発生すると顕在化する「実家じまい」3つの壁と克服法

「遺品整理」の壁:ゴミ屋敷状態でも売れるか

実家の売却を考えた際、1番最初に浮かびやすいのが、残置物の片付けです。通常は、親が使用していた家具、家電、衣類などが残っていることがほとんどです。これらをすべて自分たちで片付けるのは、かなりの時間と労力が必要です。実家までの移動だけでも相当な時間がかかるケースは少なくありません。

また体力的に限界もあるため、専門業者に頼むということも考えられます。この場合、数十万円の費用がかかりますが、1〜3日程度で一気に片付けられますので、時間と労力の負担を大幅に削減することが可能です。その他にも、「不動産会社による直接買取」の場合、取引条件次第では不要な荷物をそのまま残した状態で引き取ってくれるケースもあり、こちらも片付けの手間とコストを大幅にカットできます。

「距離」の壁:遠方の実家へ何度も通えない

よくある例として、実家は地方、子どもたちは都市部で生活というケースがあります。

この場合、相続人の生活圏から遠く離れた遠方の実家へ、不動産会社との打ち合わせや内覧のたびに帰省するのは現実的ではありません。現在では、オンラインでの相談なども一般的になっています。一度も現地に足を運ぶことなく、決済(代金の受け取り)まで完了させることも可能です。

「責任」の壁:古い家の不具合が怖い

売主および買主がともに一般の個人の場合、立場としては同じとなりますので、一般的には売主様として、売却後一定期間の責任が生じます。

基本的には、傷汚れといったものではなく、買主がその不動産を使用するにあたって影響が大きいと考えられる根幹を成す部分となります。基本的には家屋の場合、雨漏り、給排水管の故障、シロアリの害などが該当し、土地の場合、地中障害物や土壌汚染などが考えられます。

築年数が古い家屋の場合、雨漏りや給排水管の故障は、発生するリスクが高いため、売却時に売主が一定の責任を負う「契約不適合責任」を免責とできるような売却方法が想定されます。プロの不動産会社に向けた売却の場合、この契約不適合責任を免責としやすいため、売却後のトラブル、心配を解消することが可能です。

あなたの実家に最適なのはどれ? 4つの売却手法を徹底比較

実家の状態や立地、現金化までの時間など様々な個別要素により、選ぶべき出口戦略は異なります。

1.現状のまま、一般個人へ仲介で売却

築年数が浅く、建物の状態が比較的綺麗な場合におすすめです。市場相場での売却が期待できます。その反面、買い手が見つかるまでの時間が予定しづらく、実際市場に出してみないとわからない点が特徴です。

2.古家付き土地として売却

建物の築年数が古く、建物価値が低い場合、解体せずにそのまま売り出します。 売主は解体費用を負担せずに済みますが、買主としては解体費用を負担する必要が出てくることから、更地に比べて解体費相当分が割安となったり、値引き交渉を受けたりする場合があります。

3.更地にして売却

建物を解体し、土地として売り出す方法です。土地全体が見渡せ、売り出す際のイメージも古家付土地に比べると、すっきりして印象が良好となる傾向があります。また買主が購入後にすぐに建築を開始できるため、売却しやすくなりますが、売却が完了する前に、解体費用の持ち出しが発生します。 

4.不動産会社による直接買取

早期に現金化したい場合や、契約不適合責任を免責とした場合などによく選ばれる選択肢となります。

「3年」という期限が迫っている場合や、売却完了までのスケジュールを明確にしたい場合などにも有効となります。一般個人に向けた売却に比べると、売却価格は市場相場に比べると割安になりますが、最短数日で売却が決まり、売主側の負担が少ない売却方法となります。

失敗しないための相談先選びと進め方

空き家売却は、単なる不動産取引ではなく、税金や法律、遺品整理など多岐にわたる専門知識が必要です。

誰に相談すべきか?

• 不動産会社: 売却活動全般のパートナー。査定額だけで判断しないで、担当者との相性も重要です。この点は軽視されがちですが、非常に不満となりやすい点ですので、慎重に選んでいく必要があります。

• 司法書士: 相続登記や抵当権抹消などの法的手続き。 

• 税理士: 3,000万円控除の申告や節税対策のシミュレーション。 

• 土地家屋調査士: 隣地との境界が不明確な場合の測量。 

まとめ:実家という「負債」を「安心」に変えるために

空き家売却は、単なる片付けではなく、ご自身の将来とご家族の安心を守るための「資産整理」です。放置すれば、建物の老朽化とともに資産価値は目減りし、管理不全による増税や近隣からのクレーム、さらには放火や犯罪の温床になるリスクだけが膨らんでいきます。

2024年の相続登記義務化、そして「相続から3年以内」という税制の壁を意識し、早めにプロの知恵を借りることで、思い出の詰まった実家を納得のいく形で次世代へと繋ぐことができます。

まずは、「自分の実家は今いくらで売れるのか?」を知ることから始めてみませんか? その一歩が、あなたとご家族のセカンドライフを明るいものにするはずです。

相続不動産株式会社では、一都三県だけでなく、全国の不動産へ対応しています。ご不安な点、お悩み事などございましたら、お気軽にご連絡をお待ちしています。

COLUMN

相続・不動産コラム

相続・不動産コラム一覧 相続・不動産コラム一覧

相続した実家を売るなら「3年以内」がおすすめ 空き家売却の戦略

 親の相続を経験しやすい年代である50代、60代という方々に...

記事を読む »
電話 メール LINE